建物は1号から4号まで分類されており、延床500㎡以下、2階建て以下の一般的な木造建築物は4号に分類されています。これまで4号建物は審査省略制度が適用されていましたが、2025年4月以降は、こうした4号特例が縮小される方向で動いているため、特に大規模なリノベーションにとってハードルが上がると言われています。
4号特例縮小後
①業界への影響
・建築知識不足や、必要書類など対応力不足の会社はリノベーション事業を展開しづらくなる(構造計算など対応力、建築知識を保有する会社は対応し、勝ち残る)
・間取り変更したり、構造に関わる改修を主対象にしているにも関わらず、性能に懸念点がある会社は事業展開の難易度が上がる
・中古を購入し、表層リフォームを行う再販業者は構造がからまないため、事業展開に影響を受けない可能性がある(工事の範囲や解釈による)
・法改正のリスクヘッジとしてエリアによっては戸建リノベーションからマンションリノベーションに比重をシフトするケースも増えると考えられる
②審査機関(公共、民間)
・新築着工戸数ダウンで減った業務量がカバーできるが、一気に申請が増加した際、キャパオーバーになる(着工タイミング遅れにつながる可能性)
・義務、免除などの判断が、機関によってバラつきが出る可能性
③エンドユーザーにとって考えられる影響
・確認申請を提出し、審査にかかる時間の分、リノベーション工事完了(引き渡し)までの期間が延びる
・増築部分など違法建築を是正する必要があり、是正工事の分、工事費用がアップする
・是正工事の内容によっては建て替えを選択するケースが増加(または予算オーバーで工事そのものを断念)
・確認申請上、断熱や耐震といった性能向上を含めた工事が必要になる(費用アップ)
・古民家など現行の建築基準法とはまた別の概念で建てられた建物のリノベーションはハードルが上がる(建て替えに移行するケースも増える可能性)
その後、屋根、外壁に関しては、緩和措置が取られる告示がありました(2024年2月)。まだまだ協議を重ねているようで、今後の情報収集が必要です。
積雪地域など違法建築に該当する建物が集中するエリアもあります。4号特例縮小に関する情報に詳しい工務店に相談されることをおすすめします。
④リノベーション会社選び
今後は、会社選びがますます重要です。「今のうちなら安くできますよ」ではなく、「今既に建築基準法に沿ったリノベーションをしています」という会社が理想です。
来年以降、申請業務でスケジュールが読めなくなったり、申請の手数料が必要になったりすることが想定されます。こうした理由で、「今のうちにリノベーションされたほうが良い」という考え方は適切だと言えます。
※あくまでも現時点での見解です。今後、動向に応じて修正・更新する可能性があります。
※4号特例の告知チラシ(国土交通省)