燃費シミュレーション

住宅業界における燃費シミュレーションとは、専用ソフトに必要な情報を入力すると、建物の燃費（光熱費）を数字やグラフでわかりやすくシミュレーションされるというもの。燃費というと「リッター何キロ走る」といった自動車の燃費が一般的ですが、住宅業界でも車と同じように燃費が良い家に住みたいというニーズの高まりとともに、燃費シミュレーションが浸透・普及しつつあります。

リノベーション前とリノベーション後で「着実に光熱費が減りますよ」というあいまいな表現ではなく「シミュレーション上、年間〇〇〇〇円減ると算出されています」と定量データで客観的に伝えることができるため、プレゼンツールとして採用する会社が着実に増えています。ただ、燃費シミュレーションソフトを難なく使える会社と、なかなか使いこなせない会社に分かれる傾向で（あくまでもシミュレーション上ではありますが）、性能向上を前提としたリノベーションの候補先としては前者のほうが建築リテラシーが高く、依頼先としてふさわしいと言えるでしょう。

専用ソフトに関して業界では「ホームズ君省エネ診断エキスパート」や「建もの燃費ナビ」が有名です。どちらかというと、前者は国土交通省の制度をいち早くキャッチする印象で、後者はドイツの考え方が色濃く出ていると言われています。ドイツは断熱先進国であり、どちらを採用するかは会社側の判断によるところがあります。

断熱後進国と言われる日本のリノベーション現場で燃費シミュレーションが広まることは、脱炭素社会に向けて、確かな一歩と言えるでしょう。

※燃費シミュレーションの一例（筆者クライアントより）